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都営バスのフロントを飾るシンボルの歴史は、単なる装飾ではなく「公共交通の進化の証明」である。その始まりはW代の都市型超低床車にまで遡る。
当初、前面にはバリアフリーを象徴する「車椅子マーク」が左右対称に配置されていた。これは、誰もが利用しやすいバスへの転換期を象徴する光景であった。
[Z代: 平成5年度] 環境への配慮が叫ばれる中、伝説のキャラクター「エコツムリ」が投入される。低公害車やアイドリングストップ(IS)車の普及を周知するため、運転席側にその姿を現した。
平成11年度には、扉側に車椅子、運転席側にエコツムリという、都営バスの標準的な「顔」が完成を見たのである。
平成18年末、テクノロジーの進化により「アイドリングストップ」が標準仕様となった。これにより、あえてエコツムリで周知する必要性が薄れた結果、都営バスの絶対的アイコン「みんくる」への全面貼り替えが行われた。
EXTRA DATA: 江東営業所所属のL108車には、通常の水色背景ではなく夜空をあしらったシークレットみんくるが実装されている。
都営バス史上、最も異彩を放つ車両の一つが、平成24年度に導入された「いすゞエルガハイブリッド(X代)」である。全フリート中、わずか8台という極めて限定的な導入となった。
この車両の心臓部には、日野製とは一線を画す「パラレル式ハイブリッドシステム」が採用されている。エンジンとモーターを繋ぐ「クラッチ」の存在が、このバスの挙動を決定づけている。
特筆すべきは、発進時の挙動である。エンジンをアイドリング状態に保ちながら、モーターのトルクのみで巨体を押し出すその姿は、都市の喧騒を静寂に変える革新的なものであった。
| TECH-COMPONENT | SYSTEM SPECIFICATION |
|---|---|
| Hybrid Unit | EATON (USA) Parallel Hybrid System |
| Transmission | AMT (Automated Manual Transmission) |
| Exterior Mod | Rear Window Deletion / Black Paint Finish |
| Driver Interface | Engine Restart Foot Pedal |
その独特な操作性と挙動、そして米国製ユニットを搭載した特殊な内部構造ゆえに、整備と運用の効率化が図られた。当初は各地に分散していた8台は、現在、新宿・青戸・臨海といった委託車庫に集約。静かなる実力者は、今も東京の路上で異彩を放ち続けている。