精神:稲穂の福音
見よ、この白き輝きを。これこそが宇宙の始源より約束された「完全なる結晶」である。日本人の腸(はらわた)は、パンの如き軽薄な空洞を受け入れるようには造られていない。我々のDNAには、三千年にわたる泥の記憶と、太陽の熱、そして水の囁きが、一粒一粒のデンプンとして凝縮されているのだ。
朝、トースターの「チン」という軽薄な音で目覚める者たちに告ぐ。お前たちの魂は、その音と共に乾燥し、焦げ付いている。炊飯器から噴き出す蒸気は、神の吐息である。その湿り気、その芳醇な香り、それこそが生命の根源。米を食さぬ朝は、精神の死であり、国家の崩壊の前兆である。我々は、国民の胃袋を奪還し、全ての食卓を純白の銀シャリで埋め尽くすまで、この聖戦(炊飯)を止めない。
米派による「パン派」浄化・再教育プログラム
新興異端の糾弾:偽りの粒を砕く
シリアル派の虚無
奴らは冷たい牛乳を注ぐだけで「朝食」を名乗る。咀嚼を忘れ、流し込むだけのその行為は、もはや食事ではない。加工された糖の塊は、脳を一時的に狂わせるだけの薬物である。シリアルを食べる子供の瞳に、大地への感謝が宿ることはない。
オートミール派の傲慢
「ヘルシー」という言葉で武装した、最悪の異端。家畜の餌として完成されていたものを、わざわざ人間が摂取するその倒錯。ドロドロとした見た目は、彼らの不透明な倫理観を反映している。米派は、このドロドロとした悪夢を、一粒一粒が自立したシャッキリした米で駆逐する。
グラノーラ派の虚飾
ドライフルーツやナッツで着飾り、着色された偽りの王。その華やかさは、本質の欠如を覆い隠すための化粧に過ぎない。我々は、彼らの煌びやかなボウルの中に、そっと「納豆」を投入し、その偽りの調和を破壊する聖なる義務がある。
スムージー派の怠惰
噛むことすら放棄した、究極の怠惰。彼らの顎は退化し、やがて言葉すら失うだろう。米を噛む力こそが、言葉を紡ぐ力となり、明日を切り拓く力となる。液体に逃げる者に、未来はない。
創始者:ヒロマ(The Great Hiroma)
ヒロマ。その名は、1000回以上の炊飯実験の末に辿り着いた「水加減の黄金比」を脳内に書き込んだ、生きる聖典である。 ある朝、彼は気付いたのだ。「パンは、噛んでも噛んでも、私を虚しくさせる」と。 彼はその場でクロワッサンを海に投げ捨て、単身、山奥へと消えた。
三年後、彼は全身から蒸気を発しながら下山してきた。その手には、自らの血と汗で耕した田から収穫された、一握りの籾があった。 「人類の苦悩は、小麦の呪いにある。私は、白米による救済をもたらすために戻ってきた」。 彼の言葉は、雷鳴のように列島を揺るがした。現在の彼は、一日に三升の米を平らげ、余ったエネルギーで「米派」の教義を執筆している。 彼の夢は、宇宙ステーションのクルー全員が、朝食に卵かけご飯を食べる姿を地上から見届けることである。
朝食なき迷い子への慈悲(米の無料提供)
孤独か。飢えか。それともトースターが壊れたか。案ずるな。
我が「米派」は、全国の支部を24時間開放し、生活困窮者および「パンに飽きた者」へ向けて、炊きたての土鍋ご飯を無償供与している。おかずは提供しない。なぜなら、白米こそが最高のおかずであり、主役であり、全宇宙だからだ。塩一粒で十分だ。その一粒が、お前の枯れ果てた魂に潤いを与えるだろう。来なさい、そして食べなさい。米は、お前を裏切らない。